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教育と仕事の間にあるもの



ある日、福井大学教育学部の大学院のラウンドテーブルに参加するようにと誘われました。教育学部主催で学校の先生方が共に学ぶ場所だそうです。正直言って、最初は「これは私の仕事に関係あるのかな?」と思いました。私はキャリアコンサルタントで、企業での人材育成を専門にしています。学校教育の現場とは少し距離があるように感じていたんです。


でも、私の所属するマネジメント研究課学科長の教授がこう言いました。「企業での人材育成も教育の一環だし、学校で教える先生方も、社会での学びがどんな影響を与えるかに興味があると思う。聴講者じゃなくて発表者として参加してみたら?」と。こんなことでいいのかなぁと不安を抱えながらも、その後押しに乗ってみることにしました。


空気を読む文化と自立のジレンマ


私の発表のタイトルは「学校教育と自律した社員との関係に関する考察」。普段感じていることをそのまま話しました。日本の文化には「空気を読む」という強い特徴があります。学校でも、集団行動を重視し、恥をかかないようにする教育が根付いている。その延長線上で、会社に入ると突然「自立した社員としての意見」を求められる。このギャップが、時には大きなストレスや葛藤を生むことがあります。


先生方はこのジレンマをどう捉えているのか、直接お話を聞けたのはとても貴重でした。学校教育も以前よりずっと良くなってきているけれど、まだまだ遅れている部分もある。そんな印象を持ちました。


多様性と支援の課題


ラウンドテーブルでは他の方々の発表もありました。特に印象深かったのは、小学1年生の形の授業を研究された数学の先生の実践事例です。特別支援が必要な生徒でご両親の希望があれば、あえて普通学級で学ぶ、これは全ての生徒が多様性を学ぶことになるという部分でした。


「ともに学ぶ」という響きは素晴らしい。でも、現場では先生方の負担が大きいことも見えてきました。特別支援の担当者ではない先生がその役割を担うことが多く、戸惑いや負担が生じている。これって、企業で障碍者を雇用した際に配属先のリーダーが感じる課題と似ています。学校でも企業でも、組織としてのフォローが欠けると全体のハレーションにつながる。そんな共通点に気づきました。


自律と地域のつながり


もう一つ心に残ったのは、静岡県の高校での探求事業の事例です。防災をテーマに、生徒が地域で自由に研究するプロジェクト。自律した生徒がNPOを立ち上げたり、地域活動を通じて就職につながったりと、大きな変化を生み出していました。


担当の先生は「次は自分が中心にならなくても、次世代の先生たちが良い変化を起こしてくれる段階に進んでいる」と話されていました。これも企業で、一人の熱い社員がプロジェクトを起こし、周囲を巻き込んでいく現象に似ています。教育も仕事も、根っこは同じだなと思わされました。


後押しに乗ることの大切さ


右を見ても左を見ても、先生たちと先生の卵たち。そんな特殊な環境に飛び込んだのは、教授の後押しがあったからです。「こんなのでいいのかなぁ」と思いながらも、乗ってみる。そうすると、新しい経験が待っているんですね。


このラウンドテーブルで得た気づきは、私がキャリアコンサルタントとして仕事をする上で、確かな深みを与えてくれました。教育と仕事、その間にあるものを考えるきっかけになったことに感謝しています。

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